Tatsunori Doi 中東情勢の緊迫化で原油市況が再び不安定になるなか、政府は5月に施行した「燃料油価格定額引下げ措置」（ガソリン・軽油は10円/L）を軸に、レギュラー価格を「175円上限」で抑える方針を示した。だが20日に参院審議が打ち切られ、暫定税率廃止法案は廃案に。結局「補助で抑える」構図は変わらず、将来負担への不安は残る。
話題の要点まとめ
- 暫定税率廃止法案は参院財金委員会が散会となり廃案。これによりガソリン税25.1円/Lの上乗せは当面存続する。youtube.com
- 5月22日からは新制度「燃料油価格定額引下げ措置」が発動し、ガソリン・軽油10円/L、灯油・重油5円/Lを政府が定額で補填。nenryo-gekihenkanwa.go.jp
- 石破首相は6月19日に「175円/Lを上限とする予防的激変緩和」を26日からスタートさせると表明。jp.reuters.com
- 6月18日時点の全国平均は171.2円/Lで8週連続の値下がりだが、中東リスク次第で反転の可能性。nihon1.jp
関連ニュースの動向・背景
中東では6月上旬にイランとイスラエルの報復合戦が再燃し、原油先物は一時85ドル台まで急伸。日本は原油の約9割を中東に依存するため、為替が円安に振れる局面と重なると175円/Lの天井も容易に突破しかねない。さらに経産省資料によれば、4～5月の平均価格185円/Lに10円の定額補助を入れてようやく175円──つまり「上限」自体が補助前提で成り立つ数字だ。enecho.meti.go.jpresponse.jp
専門家のコメント・データ
野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「基金残高を使った追加補助は短期的には有効だが、財源が枯渇すれば再増税か燃料価格抑制策の縮小を迫られる」と指摘。中東リスクが長期化すれば国民負担の先送りに過ぎないと警鐘を鳴らす。nri.com
また資源エネルギー庁の週次調査をみると、青森県159.8円/L（6月17日）が最安、長野県175.7円/Lが最高と地域差は15円以上。地方ほど物流負担が重い構図は依然として解消されていない。nlab.itmedia.co.jp
過去の類似事例と比較
2008年4月、暫定税率が一時失効しガソリンは25円/L急落したが、同年5月に復活すると一気に元通り。結局「短期値下げ→財源穴埋めで税率復活」という負の前例を残した。webcg.net
2010年には価格が3カ月連続160円超で課税停止とする“トリガー条項”が成立したが、東日本大震災後に凍結され、今日まで一度も発動していない。wjsm.co.jp
今回も補助で“見かけの値下げ”を演出しつつ議論が長引けば、08年の轍を踏む恐れがある。
まとめ・筆者の一言
結局「補助で抑える → 財源が苦しくなる → 仕組みを作り替えて継続」というサイクルが続いている印象ですよね。目先の170円台キープはありがたいものの、税率問題を先送りしたままでは根本解決にならないんだと思います。
このニュース、これと関係あるかも？
【業界】再生可能エネルギー、EV充電インフラ
【注目株・企業名】ENEOSホールディングス、エクソンモービル
ガソリン高が長引けば「脱ガソリン」への投資が一段と加速しそう。ENEOSは製油最適化と代替燃料開発がカギ、エクソンは上流部門の強さで高配当を維持できるかに注目です。
誰かに話すならこんな風に話して
「来月からガソリン税は下がるかと思ったら法案が消えて、代わりに国が10円/L補助して175円を死守するみたい。でも原油がまた上がれば結局補助を積み増すしかなくて、財源は赤字国債頼みって話。2008年に25円下がった時もすぐ戻っちゃったし、同じことにならないか心配だね」
🐈⬛「最近ごはんを残す…」と感じたら？
そのサイン、首輪でまるっと見えるかも👇
