4月16日のニューヨーク株式市場は、FRBパウエル議長の発言をきっかけに一時900ドル超の下落を記録した。背景には、トランプ前政権の関税政策が再び注目され、それがインフレ長期化を招くとの見方がある。市場は4万ドルを割り込むなど大きく揺れ動いた。

話題の要点まとめ
2025年4月16日、ニューヨーク株式市場は急落し、ダウ平均株価は一時900ドル以上下落。最終的には699ドル57セント安の3万9669ドル39セントで取引を終えた。注目されたのはFRBのジェローム・パウエル議長による発言である。
パウエル議長は、ドナルド・トランプ前大統領が掲げていた関税政策が、仮に再導入されれば米国内の物価上昇圧力を強め、結果としてインフレの長期化につながる可能性を示唆した。これが金融市場に対し「利下げ期待の後退」と「景気鈍化への警戒感」を同時に呼び起こし、売り注文を加速させた格好である。
あわせて為替市場でも円買い・ドル売りの流れが強まり、一時1ドル=141円台に突入。これは約6か月半ぶりの円高水準である。
関連ニュースの動向・背景
トランプ氏は2024年の大統領選で共和党の最有力候補とされており、政権復帰の可能性が現実味を帯びている。選挙戦においても「対中関税の強化」や「製造業保護策」など、過去の政策を踏襲する姿勢を打ち出しており、市場はそれをインフレリスクと認識している。
パウエル議長の発言は、この流れに金融政策面から警鐘を鳴らす内容であった。具体的には「関税によるコスト増が広範な物価上昇につながる可能性があり、それがFRBのインフレ抑制の努力を困難にする」との見解を示した。これは「年内の利下げ」という市場の期待を冷やす結果となった。

専門家のコメント・データ
複数のエコノミストは、「トランプ氏の関税政策は短期的には製造業の保護になるものの、消費者物価への上昇圧力が避けられない」と指摘している。特に中国からの輸入品に高関税を課すことで、家電、衣料品、部品など広範囲な価格上昇が予想される。
また、ゴールドマン・サックスのレポートでは、仮にトランプ氏の関税政策が再導入された場合、米国のCPI(消費者物価指数)は1年で0.8〜1.2%上昇する可能性があると試算されている。これが長期に及ぶと、実質所得の減少や消費の冷え込みにつながりかねない。
過去の類似事例と比較
2018〜2019年にも、当時のトランプ政権下で中国製品への高関税が導入され、米国市場は大きく揺れた。当時、S&P500やナスダックも急落する場面があり、景気後退への懸念が一時強まった。
特に「関税ショック」と呼ばれる場面では、トヨタやアップルなど、サプライチェーンが国際的に広がる企業が大きな打撃を受けた。今回の急落も、同様の懸念が市場を覆っている構図である。

まとめ・筆者の一言
株式市場って、本当に「空気」で動くところがありますよね。今回のパウエル議長の発言も、内容としては以前から言われていたことではあるけど、「選挙が近い」「トランプ再登場の現実味」というタイミングが重なったことで、より大きな影響になったんだと思います。
利下げ観測で上がっていた相場に冷や水がかかった形で、しばらくは神経質な値動きが続きそうですね。

このニュース、これと関係あるかも?
この動き、特に影響を受けるのは米国製造業・小売業セクターです。過去にもトランプ関税の影響で、ウォルマートやターゲットといった大手小売業は、仕入コストの上昇により利益率が悪化しました。また、アップルなどのIT企業も、中国に依存する製造拠点のリスクが再び意識される展開になるかもしれません。
株価の面では、4月16日の下落でナスダックも大きく調整しています。今後も「トランプ関連発言」が続くようであれば、関連銘柄の株価変動が激しくなる可能性があり、投資家にとっても警戒が必要ですね。
誰かに話すならこんな風に話して
「昨日のNY株、一時900ドルも下がったらしいよ。パウエル議長が『トランプの関税がまた来るとインフレが長引く』って発言して、市場が警戒したんだって。やっぱり選挙が近くなると、こういうニュースが株価に効くよね」
引用元:ロイター通信、Bloomberg、日経新聞
