Tatsunori Doi トランプ前大統領の復帰とともに導入された「相互関税」が、米経済に予想を超える打撃を与えるとの懸念が広がる中、米連邦準備制度理事会（FRB）による早期の追加利下げ観測が急浮上している。従来は高関税によるインフレ圧力から利下げは困難とされていたが、景気後退のリスクを重視する声がFRB内部でも強まりつつある。
話題の要点まとめ
2025年に入り、米国の金融政策を巡る状況が一変しつつある。背景にあるのは、1月に発足したトランプ政権が導入した「相互関税」政策だ。従来の関税政策に比べ、その影響が広範かつ強力であることから、米経済への深刻な打撃が懸念されている。これを受け、インフレよりも景気後退リスクが優先課題となり、FRB内では早期利下げを容認する姿勢がにわかに強まっている。
これまで「関税＝インフレ圧力＝利下げ遠のく」という構図が市場のコンセンサスだった。しかし今は、インフレは一時的で、むしろ消費や投資が急減速することによる景気後退の方が深刻とする認識が広がっている。
関連ニュースの動向・背景
トランプ政権が4月に打ち出した「相互関税」は、全ての貿易相手国に対し一律10％の関税を課すという異例の措置だった。加えて日本、EU、中国など60カ国以上にはさらなる上乗せ関税が課される構想も発表された。最終的には中国を除き発動が停止されたものの、市場に与えた衝撃は大きい。
この政策により、米国の平均関税率は一気に「戦前レベル」にまで上昇。世界各国が報復関税を検討するなかで、貿易量の減少、企業の設備投資の縮小、さらには雇用減少の懸念が顕在化している。
結果として、インフレは再加速するものの、それ以上に経済活動の急減速が危惧される事態となった。米JPモルガンは、世界経済が年内に景気後退に陥る確率を60％とするレポートを公表しており、金融市場の動揺も拡大している。
専門家のコメント・データ
FRBのウォラー理事は、「ここ数十年で米経済を襲った最大のショックの一つ」としてトランプ関税を明確に批判。その上で、著しい景気減速が生じるなら「より早く、大幅な利下げを支持する」と明言した。
また、ボストン連銀のコリンズ総裁も、「市場の混乱が激化した場合には、利下げに加え資金供給などの緊急対策にも踏み切る用意がある」と発言。インフレへの配慮よりも、市場安定と実体経済への支援を優先する方向に舵を切りつつある。
現時点での米インフレ率は2.4％だが、数カ月以内に5％近くまで上昇するとの見方が強い。一方、企業の投資計画の延期や労働市場の冷え込みなど、マクロ経済指標には陰りが出始めている。
過去の類似事例と比較
類似のケースとして言及されるのが、1930年代の「スムート・ホーリー関税法」である。この関税法も世界的な貿易戦争を引き起こし、結果として世界大恐慌を深刻化させた。今回の「相互関税」はまさにそれに匹敵する強硬策であり、同様の経済悪化を招くリスクが指摘されている。
また、近年では2018〜2019年の「米中貿易戦争」も参考になる。当時も関税合戦が引き金となって市場のボラティリティが急上昇し、FRBは利上げから利下げへと一転した。今回もその再来の可能性がある。
まとめ・筆者の一言
「関税を上げればインフレで利下げは無理」と思ってたけど、実際には景気が悪化しすぎて、結局は利下げが必要になってしまう…って皮肉な流れですよね。特に今回は報復関税も絡んでて、世界経済全体がしんどくなってる感があります。
トランプ政権の思惑がどこまで見通せていたのかは不明ですが、FRBもマーケットも「経済ショックの回避」に全力で動く段階に入ったのは間違いなさそうです。今後の政策判断に注目ですね。
このニュース、これと関係あるかも？
この話題が直撃するのは、まず米金融・資本市場全体です。特に株式市場では、ハイテク企業や多国籍企業など**海外売上比率の高い企業（Apple、NVIDIA、ボーイングなど）**の株価が大きな影響を受けやすく、年初来のパフォーマンスにも陰りが出ています。
また、為替市場ではドル安圧力が強まるとされており、円高シナリオの再浮上も想定されます。日本企業にとっては、輸出採算や海外工場のコスト影響が出やすい局面です。
加えて、FRBの利下げ観測が高まれば、金（ゴールド）やビットコインなど非金利資産への資金流入も起こりやすくなるため、コモディティ市場や暗号資産の動向にも注目が必要だと思います！
誰かに話すならこんな風に話して
「最近のトランプの関税政策、すごいことになってるよ。FRBもまさかの利下げに前向きみたいで、普通なら関税ってインフレで利上げになるはずなんだけど、今回は景気悪化がそれ以上にやばいらしいんだって。スタグフレーションになるかもって話も出てるし…世界経済にまた暗雲かもね。」
引用元： 毎日新聞、ロイター通信、フィナンシャル・タイムズ、Bloomberg、JPモルガンリポート
