2026年度から大幅な変更が予想される自動車税制。環境性能や税の公平性を軸に、購入・保有時の課税方法が見直される動きが進行中だ。新制度の全体像と今後のポイントを詳しく解説する。

話題の要点まとめ
自動車税をはじめとする「車体課税」が、2026年度を目処に大きく改正される可能性が高まっている。背景には、現在の課税体系が時代遅れとなりつつあり、ユーザー間の負担に不公平が生じているという問題意識がある。
現在、自動車ユーザーは「購入時」と「保有時」の2段階で税負担を強いられている。特に保有時には、自動車税、重量税、さらに燃料課税が重なっており、総合的な税負担は国際的に見ても高い水準とされている。
自工会(日本自動車工業会)はこの現状に対し、「環境性能に応じた公平な課税」へのシフトを提言。2025年度の税制改正で、その方針が正式に制度化される見通しである。
関連ニュースの動向・背景
2024年に入り、与党税制調査会や財務省、総務省などが自工会の提言を受け、制度設計に向けた議論を加速させている。特に注目されているのが以下の2点である。
- 環境性能割の廃止と消費税への一本化
購入時に課されていた環境性能割は、自動車取得税の代替措置だったが、消費税と重複する形で課税されているとの指摘があり、2025年度の税制改正で廃止が検討されている。これにより、購入時の負担軽減が見込まれる。 - 保有時課税の一本化と環境性能連動型への移行
自動車税と自動車重量税を統合し、車両の環境性能(主にCO2排出量)と重量を指標とした課税体系に改める案が有力視されている。ただし、その具体的な設計には業界内でも意見が分かれており、「階段付け課税」の基準作りが難航している。

専門家のコメント・データ
自工会が示したデータによれば、日本の自動車税負担は先進国の中でも際立って高い。13年間乗用車を保有した場合の税額は、イギリスの1.4倍、ドイツの3.4倍、フランスの9.5倍、アメリカの23.4倍にも及ぶとされている。
また、ある税制専門家は「環境性能に連動した税体系は時代に即しているが、制度変更によって誰が得をし、誰が損をするのかが明確でない以上、合意形成は難しい」と指摘する。
特に、既存の内燃機関車を長く保有している層や、地方に多い大型車ユーザーにとっては、増税になる可能性も否定できないため、丁寧な制度設計が求められる。
過去の類似事例と比較
自動車税制の大きな改正は、直近では2019年の「自動車税種別割」導入時が挙げられる。これは消費税増税に伴う負担軽減策として行われたが、環境性能による優遇措置が拡大された結果、優遇を受けられないユーザーとの間で不公平感が指摘された。
また、2009年の「エコカー減税」も一時的に市場を活性化させたが、減税終了後は逆に販売が急減し、制度の持続性に課題を残した。
今回の改革は、「簡素で永続的な仕組み」と「公平性」の両立を目指しており、過去の反省を踏まえた制度設計が行われる必要がある。

まとめ・筆者の一言
毎年この時期になると届く自動車税の通知、ちょっと憂鬱ですよね。でも、来年からはもしかしたら内容がガラッと変わるかもしれません。排気量や重量だけじゃなく、環境性能まで含めた“未来志向”の税制になれば、クルマ選びの基準も変わってきそうですよね。
それにしても、海外と比べて日本の税金がここまで高いとは…。改革の方向性には期待したいですが、制度が複雑すぎると逆に混乱を招きそうなので、シンプルで分かりやすい仕組みにしてほしいと思います!

このニュース、これと関係あるかも?
今回の税制改革が影響を与えるのは、自動車業界全体、特に国内販売に注力するトヨタ、ホンダ、スズキ、日産などの大手メーカーであると考えられます。
例えば、EV(電気自動車)への課税優遇が拡大すれば、EV販売比率を高めている日産(リーフ)、三菱(eKクロスEV)などにとっては追い風になるかもしれません。一方で、排気量が大きく燃費の悪いモデルを多く抱えるメーカーは、新税制次第で販売戦略の見直しを迫られる可能性も。
投資家目線で言えば、税制改正の方向性によってはEV関連株が一段と注目を集める展開になるかもしれませんね。
誰かに話すならこんな風に話して
「そういえば、来年からクルマの税金が変わるかもって知ってた?今の制度って、ガソリン車とEVで不公平感あるらしいんだけど、それを見直すらしいよ。特に環境性能が高いクルマは優遇される方向みたい。今後クルマ買うなら、その辺もちょっと気にした方がいいかも!」
引用元:くるまのニュース、日経新聞、Bloomberg、日本自動車工業会(自工会)資料
