米国株は関税リスクと消費期待が交錯し、主要3指数はまちまち。S&P500は小反落、NASDAQはかろうじてプラス圏で終了しました。貿易・FOMC・大型セールが同時進行の1日をやさしく総ざらい!
📈 主要指数の動き
指標 | 終値 | 前日比 | 変動率 |
---|---|---|---|
S&P500 | 6,225.52 | -4.46 | -0.07% |
NASDAQ | 20,418.46 | +5.94 | +0.02% |
NASDAQ100 | 22,702.25 | +16.68 | +0.07% |
NYダウ | 44,240.76 | -165.60 | -0.37% |
ドル/円 | 146.59 | +0.04 | +0.03% |
VIX(恐怖指数) | 16.81 | -0.98 | -5.50% |
米10年債利回り | 4.4072 | +0.0120 | — |
米2年債利回り | 3.9030 | 0.0000 | — |
米30年債利回り | 4.9295 | 0.0000 | — |
指数は小幅な値動きながら、VIXが-5.50%と大きく低下し、ボラティリティは後退。10年債利回り4.4072%へじわり上昇し、金利面では“ややタカ派”の空気が漂いました。Reuters
💡 注目のニュース・イベント
- トランプ大統領が14カ国への新関税を示唆し、貿易摩擦が再燃。投資家は“追加関税は8月1日まで先送り”との発言に神経質に反応しました。インベストペディア
- FOMC 6月会合の議事要旨が翌日に公表予定。インフレ粘着性の評価と年内利下げの行方が焦点で、債券市場は様子見ムード。Reuters
- Amazonの4日間プライムデーがスタートし、“夏の消費ブースト”に期待。Eコマース関連が底堅さを見せました。インベストペディア
🔥 セクター別の動き
NASDAQサブ指数 | 終値 | 前日比 | コメント |
---|---|---|---|
運輸 | 6,492.49 | +75.77 (+1.18%) | 原油安+物流需要期待でトップ。 |
工業 | 12,024.16 | -69.62 (-0.58%) | 関税懸念で製造株に売り。 |
金融 | 14,033.55 | -66.13 (-0.47%) | 長短金利差の縮小を嫌気。 |
通信 | 509.38 | -0.37 (-0.07%) | 大型ITはまちまち、方向感薄。 |
💵 注目銘柄ピックアップ
1. テスラ(TSLA)
- 前日の急落から小幅反発。
- 原因はマスクCEOが“新政党立ち上げ”を発表したことによる経営専念懸念の緩和。
- 自動運転FSD V12の北米ロールアウトが順調との社内メモが流出。
- 米中関税リスクがくすぶるなか、中国・ベルリン両ギガファクトリーは稼働率維持。
- 金利上昇は重荷だが、補助金延長論も追い風。
- アナリストの強気レポートが相次ぎ“買い戻し”の動き。
- ただし短期トレーダーはボラ警戒で出来高は平均並み。
- 社内AIスーパーコンピュータ「Dojo」試運転開始報道も。
- 今後は8月のAIデーと第2四半期決算がカタリスト。
- 技術革新×政治リスクのせめぎ合いが続く一日でした。インベストペディア
2. Amazon.com(AMZN)
- 毎年恒例“夏のプライムデー”が4日間開催。
- 物流拠点のAI最適化が功を奏し、配送コスト削減期待。
- AWSが半導体自社開発を加速、Nvidia依存度を低下へ。
- 小売部門は価格競争激化も、サブスク会員数が堅調。
- 広告ビジネスがTikTok規制の追い風で伸長との観測。
- 投資家は“消費者マインドの底堅さ”を測る温度計として注視。
- CFOが決算前のカンファレンスで「在庫水準は適正」と言及。
- 関税問題の逆風でも国内売上は堅調との社内データ。
- 中長期ではヘルスケア部門のM&A戦略にも注目。
- Eコマース+クラウド+広告という“三本柱”が光る展開でした。インベストペディア
3. メタ・プラットフォームズ(META)
- AppleのAIトップ人材を電撃スカウト。
- “スーパーインテリジェンス”部門の強化でAI競争へ前傾姿勢。
- Threads利用者がX離れで再上昇、DAU回復が材料視。
- メタバース部門の赤字はなお重石だが、市場は「AI+広告」収益化を評価。
- Horizon OSを他社VRヘッドセットにライセンス提供検討の報道。
- FTCとの独占禁止訴訟は小康状態でヘッドライン不安後退。
- 関税問題が広告主のリスクオフにつながるか注視。
- WhatsAppペイメントがインドで拡大、フィンテック色を強める動き。
- eコマース連携機能のテストで新収益源模索。
- 人材×AI投資で長期成長ストーリーを上書き中。インベストペディア
📊 投資家のムード
「関税は気になるけど、FOMCまでは様子見でいいかな」という**“半歩上の警戒モード”**。VIXが大きく下げた一方、ディフェンシブ株への資金シフトも続き、極端なリスクオフには至らずというのがコンセンサスです。Reuters
🚀 今後の注目ポイント
- 7/9:FOMC議事要旨 – 金利見通しの“ニュアンス”に注目
- 7/11:6月CPI – 緩和シナリオ再点火か、再ブレーキか
- Amazonプライムデー最終日 – 消費マインドのリアルタイム指標
- テスラAIデー(8月予定) – AI関連株の物色タイミング
🤔 個人的な感想
「え、VIXこんなに下がる? みんな意外と楽観的!」――正直ちょっとびっくりでした。とはいえ関税ヘッドラインは一夜で空気を変えるので、油断大敵ですね😅
🧠 今日の豆知識:モメンタム投資(Momentum Investing)
1️⃣ 用語の定義
モメンタム投資とは、**「上がっているものはさらに上がり、下がっているものはさらに下がる」**という価格推移の慣性(モメンタム)を利用して利益を狙う手法です。具体的には、過去3〜12か月でリターンが高かった銘柄を買い、低かった銘柄を売る(または保有を避ける)というシンプルなルールが基本形。
2️⃣ なぜ重要?
- 行動ファイナンスとの相性◎
市場参加者の過剰反応・追随行動が価格トレンドを作るという心理面の裏付けがあるため、理論的にも実証的にも“説明力”が高いとされています。 - 分散投資の一翼を担う
伝統的なファクター(バリュー・サイズなど)とは相関が低く、ポートフォリオに組み込むとシャープレシオ改善が期待できます。 - 指数化が進み取り組みやすい
iShares MSCI USA Momentum Factor ETF(MTUM)など、モメンタムを取り入れたETFが数多く上場しており、個別選定が難しい人でも活用可能です。
3️⃣ 実際の活用例
🚀 シンプル・ルール運用(個別株)
- 毎月(または四半期)、S&P500構成銘柄の12か月リターンを計算
- 上位20銘柄を同ウェイトで購入、下位20銘柄を売却または空売り
- 翌リバランス日までホールドし、同じ手順を繰り返す
研究によれば、1990年代以降この戦略は市場平均を年率約3〜5%アウトパフォーム(取引コスト除く)するケースが多いと報告されています。
🧩 ETFを使った応用(資産配分)
- 核心:
- コア:S&P500 ETF 60%
- サテライト:モメンタムETF 20%、バリューETF 20%
- 年1回のリバランスで、ファクターごとの“良いとこ取り”を狙うポートフォリオ。
- モメンタムが先行し過ぎた年はリバランスで利益確定、逆に停滞期は他ファクターが補完──という**「相互保険」**的役割を果たします。
🛠 実務面の注意点
- 回転売買が多くコスト高になりやすい。手数料やスプレッドを十分考慮。
- 急落時にドローダウンが深くなる傾向。ストップロス設定や分割エントリーが有効。
- ファクター・クラッシュ(突然の優位性喪失)リスクがあるため、バリュー・クオリティなど他ファクターとの併用が安全策。
💡 まとめ
モメンタム投資は「トレンドに乗る」という直感的な戦略ながら、学術的エビデンスも多い“実力派ファクター”。ETFやシンプルなルール運用で誰でも取り入れやすい一方、コストやファクター・クラッシュといった落とし穴には要注意。“行動経済学+統計エッジ”を武器に、市場の波にスマートに乗る方法として覚えておくと便利ですよ!🚀
💬 今日話せる小ネタ
米国では大統領選が近づくと「選挙サイクル効果(Presidential Cycle Theory)」というアノマリーがよく話題になります。選挙前年は株が上がりやすい、就任直後は下がりやすい――という統計的傾向のことですが、今年はその“上がりやすい年”と“関税リスク再燃”が同時発生という珍しいパターン。実は1972年のニクソン再選時も同じ構図で、当時はドル防衛のための輸入課徴金が物価高を招き、結果的に株価は高値を更新したあと調整入りしました。現在のトランプ関税が同じ轍を踏むのか、はたまた企業のサプライチェーン再構築で逆に恩恵を受ける業種が生まれるのか――歴史を振り返りながら「関税×選挙×金利」の三重奏を読み解くと会話がグッと盛り上がります。たとえば、物流株は関税発動前に駆け込み需要で上昇し、その後マージン圧迫で下げる“ジェットコースター”型になりやすい、なんてトリビアも。ぜひ雑談で披露してみてください📚✈️🌐