ネット通販の拡大に伴い、自宅で受け取らずに済む「置き配」の利用が広がっている。しかし近年、この便利なサービスを巡る紛失や破損といったトラブルが顕著に増加している。背景には宅配業界の構造的な課題や、コロナ禍以降の受け取り環境の変化があるとされる。では、利用者としてどのような対策が取れるのか。宅配の現場を熟知する専門家の意見をもとに、その実情と解決策を探る。

話題の要点まとめ
- 宅配業界は「2024年問題」に直面し、人手不足と再配達の多さが深刻化している。
- その対策として広まった「置き配」だが、紛失や破損といったトラブルも急増中。
- 背景には住宅事情や勤務形態の変化があり、今や「安心して置ける場所」の確保が大きな課題となっている。
- 政府検討会メンバーである矢野裕児教授は、個人で実践できる対策や社会全体での取り組みの必要性を提言している。
関連ニュースの動向・背景
2024年に入り、宅配便の再配達率は10〜11%前後と高止まりしており、これは年間6万人分のドライバーの労働力に相当するとされている。この深刻な状況を受け、宅配業者各社は「置き配」や「宅配BOX」などの導入を積極的に進めてきた。
特に、アマゾンが2019年に開始した置き配サービスは、コロナ禍で急速にニーズが拡大し、今では日本郵便やヤマト運輸なども本格導入を進めている。ただし、社会的定着に伴い、利用者の生活様式が変わったことでトラブルも急増。特に在宅率の減少により、荷物が外に長時間放置されることによる盗難や破損などが問題となっている。
専門家のコメント・データ
流通経済大学の矢野裕児教授は、置き配の本来の意義を「安全な場所に確保された形で行う非対面受け取り」と定義する。しかし、日本の住宅事情ではその前提条件が整っていないケースも多く、適さない場所への無理な置き配がトラブルの原因になっていると指摘する。
また、矢野教授は個人が今すぐできる対策として以下の方法を挙げている。
- 注文時の「まとめて配送」設定
- 受け取り可能日時の指定
- 宅配業者のメンバーズ登録による事前調整
- コンビニ受け取りや宅配BOXの活用
これにより、受け取りのタイミングをコントロールしやすくなり、トラブルのリスクを減らすことができるとしている。
過去の類似事例と比較
置き配のトラブルが社会問題化したのは今回が初めてではない。2020年前後のコロナ禍初期にも、非対面受け取りの増加により類似の問題が発生した。だが当時は「すぐに受け取りに出る」前提の置き配が主流であり、荷物が長時間放置されることは少なかった。
しかし、リモートワークから通常勤務へと戻る中で、置き配の運用実態が「無人状態での長時間放置」に変わってきている。この構造的な変化により、以前とは異なる種類のトラブルが顕在化してきた点が特徴である。
まとめ・筆者の一言
便利だと思っていた置き配も、少しの工夫や意識でトラブルを防げるんですね。特に「置き場所に配慮する」って、言われてみれば当たり前のようで、つい見落としがちなポイントだと思います。宅配業者の人手不足も深刻だし、お互いに気持ちよく使えるようにしていきたいですね!
このニュース、これと関係あるかも?
【業界】物流テック、電子商取引(EC)
【注目株・企業名】
国内株:パナソニック ホールディングス(宅配BOX・スマートロック開発)、ヤマトホールディングス
海外株:Amazon.com(置き配の先駆者)、FedEx(非対面受け取り対応強化)
物流のIT化や再配達問題って、こういう企業が鍵を握ってくるんですよね。株価にも動きが出るかも?
誰かに話すならこんな風に話して
「最近、置き配で荷物が盗まれたって話、よく聞くよね。実はコロナが終わって人の生活スタイルが変わったのが原因らしくて、今は長時間荷物が外に放置されがちなんだって。だから、ちゃんと置き場所を指定したり、宅配BOXを使ったりするといいらしいよ。しかも、そういう仕組みを整えないと、今後ネット通販がもっと伸びたときに宅配業界がパンクしちゃうかもって話なんだよ。」
引用元:日経新聞、国土交通省資料、流通経済大学・矢野裕児教授インタビュー
