Tatsunori Doi 米ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊のUSスチール工場で、日本製鉄との提携を訴えるトランプ前大統領の演説が行われた。日鉄による買収を巡っては政治的な反発も強かったが、現地では歓迎ムードが高まりつつあり、かつての鉄鋼産業の復活を期待する声が広がっている。
話題の要点まとめ
・トランプ氏が日鉄によるUSスチール買収を支持し、地元で演説
・工場従業員や地元住民からは買収を歓迎する声が多数
・日鉄は140億ドル規模の投資計画を発表
・従業員へのボーナス支給も予定し、地域経済の活性化に期待
・反対していた労働組合にも徐々に支持の動き
関連ニュースの動向・背景
日本製鉄によるUSスチールの買収は、米鉄鋼業界のみならず米国政治にも影響を与える重要な案件である。特にペンシルベニア州のような大統領選の激戦州では、鉄鋼労働者票が選挙結果を左右する要素とされる。
2024年の大統領選では、バイデン前大統領やハリス副大統領が労働組合への配慮からこの買収に反対姿勢を示していた。一方で、地元では「買収による経営安定こそが雇用を守る」との意識が強まり、組合内部でも意見の分裂が生じた。
このような背景の中、2025年5月30日にトランプ氏が現地工場で演説。日本製鉄による大規模投資や雇用維持策を高らかに掲げ、会場は「USAコール」で熱気に包まれた。
専門家のコメント・データ
経済アナリストらは今回の買収について「日鉄の資本力と技術力がUSスチールの再建にとって重要な役割を果たす」としており、今後の収益改善に期待を寄せている。
実際、USスチールは2025年1〜3月期の決算で、売上高が前年同期比10％減、最終損益が1億ドルを超える赤字となった。米国内の老朽化した設備や人件費の高騰が背景にあり、日鉄からの投資はそれらの課題を解決する鍵とされている。
また、従業員への5000ドルのボーナス支給という施策も発表されており、地元雇用の安定化とモチベーション向上に大きな影響を与えるとみられている。
過去の類似事例と比較
過去にも日本企業による米国製造業への投資例はあるが、鉄鋼業の中核企業であるUSスチールの買収は規模と影響力の面で異例である。たとえば、2010年代のトヨタや日産による米南部工場の新設投資なども地域経済に好影響を与えたが、今回のように政治争点化することはなかった。
また、米ゼネラル・モーターズ（GM）とホンダの提携のように、対等な技術連携が成功を収めたケースもあるが、USスチールは経営再建という色合いが強く、より深刻な課題解決が求められている。
まとめ・筆者の一言
正直なところ、ここまで地元の反応が好意的だったのはちょっと意外でしたよね。鉄鋼労働者にとっては、企業の「国籍」よりも「雇用の安定」が何より重要なんだなと感じさせられるニュースでした。選挙戦の駆け引きも絡んでくるだけに、今後の動きにも注目していきたいと思います。
このニュース、これと関係あるかも？
【業界】製造業／資源・エネルギー
【注目株・企業名】日本製鉄（国内）、USスチール（海外）
このあたり、今後も業界再編が進むかもしれませんね。ほかにもPOSCOやアルセロール・ミッタルあたりの動きもチェックしておくと良さそうです！
誰かに話すならこんな風に話して
「USスチールってアメリカの鉄鋼大手なんだけど、経営がかなり厳しかったらしくて、そこに日本製鉄が大規模投資して再建を助ける形になったんだって。地元の人たちも意外と歓迎してて、『USAコール』とかまで起きたらしいよ。政治的にも注目されてる話題なんだってさ。」
引用元：毎日新聞、ロイター通信、Bloomberg、日経新聞
