米国の連邦裁判所が、トランプ前大統領による輸入品への一律関税措置を「大統領権限の逸脱」として差し止めた。この判断は、米国の通商政策に対する司法の介入を強く印象づけるものであり、今後の米通商外交や市場の行方に大きな影響を与える可能性がある。

話題の要点まとめ
2025年5月28日、米国際貿易裁判所がトランプ前大統領による包括的な関税措置を違法と判断し、その大部分を恒久的に差し止めた。対象となったのは、同氏が国家非常事態を根拠に全輸入品に一律課税した関税であり、同裁判所はこれを「連邦法に反する」と明示した。
差し止めの根拠となったのは、国際緊急経済権限法(IEEPA)を大統領が拡大解釈していた点であり、裁判所は「大統領の裁量権を超えた使用」と断じた。政権側は即時控訴し、今後の法廷闘争が続く見通しである。
関連ニュースの動向・背景
トランプ前政権は、米国の貿易赤字を「国家非常事態」と定義し、2025年1月からすべての輸入品に一律10%の関税を課す措置を発動。とりわけ貿易赤字の大きい中国に対しては追加的な税率を設け、対中強硬路線を鮮明にしていた。
しかしながら、こうした措置は多国間貿易体制に対する挑戦とも受け取られ、国内外で物議を醸していた。さらに、超党派の市民団体や中小企業、13州の州政府などが訴訟を提起し、今回の判断に至った。
ホワイトハウスは「貿易赤字はコミュニティと労働者に甚大な影響を与える国家非常事態」として、裁判所の判断を非難。一方で市場はこれを歓迎し、ドル高や株高で反応した。
専門家のコメント・データ
ゴールドマン・サックスのアナリストであるアレック・フィリップス氏は、今回の判断が「包括的関税措置の後退を意味し、政策の不確実性を高める」としつつも、「セクター別・国別の関税措置までは否定されていない」と分析。依然としてトランプ氏には別の法的手段が残されており、「対中強硬姿勢が完全に頓挫したとは言えない」としている。
また、オレゴン州の司法長官ダン・レイフィールド氏は「貿易政策は大統領の気まぐれで左右されるべきではない」として、今回の裁判所判断を「法の支配の勝利」と歓迎した。

過去の類似事例と比較
トランプ政権による関税措置が司法判断の対象となったのは今回が初めてではない。2018年〜2020年の政権下でも、鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税(セクション232)や中国製品への課税(セクション301)が複数の訴訟対象となっていた。
過去には、これらの関税措置に対しても一部で「法的根拠の薄さ」が指摘されていたが、差し止めには至らなかった。今回の判決は「包括的かつ一律な関税措置」という異例の対応に対して、司法が明確なNOを突きつけた初のケースとされている。
まとめ・筆者の一言
いやー、ついに来ましたね。トランプさんの「何でも関税」スタイルに、アメリカの裁判所が本気でブレーキをかけたというのは、かなり象徴的な出来事だと思います。しかも「法律が許していないからダメ」と明確に言い切っているのが印象的でした。トランプさんはまだ別の手段で攻めてくるかもしれませんが、少なくとも全面関税という”大技”には制限がかかりそうですね。
このニュース、これと関係あるかも?
【業界】半導体・電機・輸出産業全般
【注目株・企業名】東京エレクトロン(日本)、マイクロン・テクノロジー(米国)
こういうニュースって、輸出依存度の高い企業には追い風かもしれませんね!裁判所の判断が維持されれば、貿易の不確実性が少し緩和されて、業績にプラス材料になる可能性もあるんじゃないでしょうか。
誰かに話すならこんな風に話して
「トランプ元大統領が、貿易赤字を理由に全部の輸入品に関税かけようとしたんだけど、それがやりすぎってことでアメリカの裁判所に止められたんだって。法律的にそこまではできないらしいよ。市場もホッとしたみたいで、株価も上がってたよ。」
引用元:ロイター通信
