日本、対外純資産で34年ぶりに世界首位陥落 ドイツが逆転:通貨・財政の信認に影響も

2024年末、日本の対外純資産残高が533兆円となり過去最大を更新したものの、円換算でドイツの純資産額がこれを上回り、日本は1989年以来初めて世界首位の座を明け渡すこととなった。外貨建て資産の円安による影響を含めたものではあるが、これは日本経済の構造的な変化と、国際的な競争力低下を如実に示す指標とも言える。

話題の要点まとめ

・日本の対外純資産残高が533兆円で過去最大
・しかしドイツの純資産(円換算約569兆円)に逆転され、34年ぶりに世界2位へ
・輸出による経常黒字が減少、貿易赤字やデジタル赤字が拡大
・対外純資産の減少は、円や日本国債の信認にも波及リスク
・今後は財政・金融政策の慎重な運用が求められる

関連ニュースの動向・背景

対外純資産とは、国が保有する海外資産から、対外負債を差し引いた純額であり、その多寡は国家の経済的な健全性を示す一つの指標とされている。日本は1980年代末のバブル経済期から長らくこの指標で世界トップを維持してきたが、2024年末の集計でドイツに逆転を許す結果となった。

この背景には、輸出主導型の経済構造が変化しつつあることがある。かつての日本は自動車や電子機器といった高付加価値製品で世界市場を席巻し、経常黒字を積み上げることができたが、近年はデジタル分野やエネルギー自給率の低さから、貿易赤字が常態化している。また、資源価格の高騰による輸入額の増加や、海外旅行・ITサービスの輸入などが膨らむ「デジタル赤字」も無視できない要素である。

一方、ドイツは欧州の製造業の中心国として、自動車・機械・化学といった高収益産業が好調を維持しており、貿易黒字の拡大によって対外純資産を着実に増やしてきた。ユーロ圏の中で堅実な財政運営を続けてきたことも、国際的な信認を支える要因となっている。

専門家のコメント・データ

NRIの研究員は、「日本の貿易構造の変化が長期的に対外純資産の減少を招いている。これは円の信認や財政の安定にも影響を及ぼしかねない」と指摘する。また、財務省の統計によれば、過去10年で日本の貿易黒字は減少傾向にあり、2023年度の経常黒字も大幅に縮小している。

さらに、海外の格付け機関は日本国債の格付けを安定的に維持しているが、その根拠の一つが「対外資産の豊富さ」にある。もしこの資産が今後も縮小を続ければ、格付けにも下押し圧力がかかる可能性がある。

一方で、国際通貨基金(IMF)は最新の報告で「日本の外貨準備高や経常黒字の規模から見て、現時点で通貨危機の懸念は薄い」としている。ただし、将来的には人口減少や生産性低下が複合的に経済の下押し要因になるとの警鐘も鳴らされている。

過去の類似事例と比較

1980年代後半、バブル期の日本は経常黒字の積み上げにより、急速に対外純資産を増やした。1989年以降、長らくその地位を維持していたが、90年代以降は輸出競争力の低下、製造業の海外移転、円高の影響などで構造的に貿易黒字が減少傾向に転じていた。

一方、ドイツは2000年代以降、労働市場改革や企業再編を進めたことで、製造業の競争力を回復。2010年代からはEU域内外での輸出が拡大し、経常黒字の累積によって純資産を着実に増やしてきた。

このように、日独両国の純資産構造の変化は、各国の産業構造や経済政策の違いを映し出している。

まとめ・筆者の一言

日本が34年ぶりに対外純資産の首位をドイツに譲ったというニュース、ちょっとショッキングでしたよね。とはいえ、すぐに円が暴落するとか、国債が信用されなくなるとか、そういう話ではないので安心していいとは思います。

でも、じわじわと進んでいる「日本の稼ぐ力の低下」は気になります。やっぱり輸出で稼ぐ産業や、競争力ある製造業をもう一度立て直すことが必要かもしれません。あとは、無理な金融緩和とか、ばらまき的な財政政策には慎重でいてほしいところです。

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【業界】製造業・金融業
【注目株・企業名】トヨタ自動車(日本)、シーメンス(ドイツ)

日本の製造業が再び世界市場で存在感を取り戻すには、やっぱりトヨタのような企業の成長がカギですよね。ドイツのシーメンスも、デジタル化やエネルギー転換で成長していて、やっぱり輸出力って大事だなと思います。

誰かに話すならこんな風に話して

「知ってた?日本って今までずっと世界一の純資産国だったのに、ついにドイツに抜かれちゃったんだって。円安の影響もあるけど、長い目で見ると経済力が落ちてる証拠かも。ちょっと怖いよね、これからの財政とか通貨の信頼って話で。」

引用元:日経新聞、財務省発表、NRIレポート、IMF統計データ

この記事を書いた人

Tatsunori Doi

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