政府備蓄米の販売に関する随意契約の受付が、一時休止となった。農林水産省は5月26日から2022年産を中心に政府備蓄米の売り渡し受付を開始していたが、翌27日には申し込みが想定を超える状況となり、同日午後9時に受付を休止する事態となった。背景には、備蓄米の用途や需給バランスをめぐる複雑な事情があるとみられる。

話題の要点まとめ
農水省は5月26日、2022年産の政府備蓄米について、随意契約方式による売り渡し受付を開始した。これは一般競争入札ではなく、事業者の申請を受けて個別に契約を行う方式である。
しかし翌27日までに申込みが33社に達し、申込数量も15万トンを超え、政府が予定していた数量20万トンに近づいたため、受付は午後9時に一時停止となった。
受付停止は2022年産のみならず、2021年産についても適用されている。今後の再開については、小泉農林水産大臣がX(旧Twitter)で、事業者の意向を確認したうえで対応する方針を示している。
関連ニュースの動向・背景
政府備蓄米とは、災害時や需給の急変時に備え、政府が購入・保存している米である。平常時においては、市場への影響を最小限に抑えながら計画的に放出される。
今回の随意契約による売却は、通常の入札より柔軟な対応が可能である一方、急激な需要の増加には対応が難しいという課題も抱える。背景には、飼料価格や食品原料価格の高騰によって、安定供給可能な政府米への関心が高まっていたことがあるとみられる。
また、昨今のインバウンド需要や外食産業の回復に伴い、業務用米の需要が再び増加傾向にあることも、今回の申し込み急増の一因とされる。
専門家のコメント・データ
農業経済学者の間では、今回の一時休止は「計画された供給と自由市場との調整の難しさを浮き彫りにした」との見方がある。
農水省が公表している資料によれば、備蓄米の年間の売却数量は通常10万トン前後で推移しており、今回の15万トン超の申し込みは異例の規模である。
また、農水省は2024年度から備蓄米の運用見直しを段階的に進めており、これに伴う制度変更の過渡期というタイミングも影響している可能性がある。

過去の類似事例と比較
過去にも備蓄米の売り渡しをめぐる需給のひっ迫はあったが、ここまで短期間に受付停止に追い込まれるケースは稀である。
たとえば2018年には、相次ぐ自然災害の影響で市場米が不足し、政府米の売り渡しに申し込みが集中した例がある。しかしその際は、あらかじめ段階的な売却が計画されていたため、今回のような一斉停止には至らなかった。
今回の事例は、外的要因ではなく、経済環境と制度設計の狭間で起きた“想定外”の事象といえる。
まとめ・筆者の一言
想定より多くの事業者が申し込んできたってことは、それだけ米の安定調達に不安を感じているってことかもしれませんね。
制度が柔軟であることは大事だけど、こういう申し込み殺到みたいな事態をどうコントロールするかは、今後の制度設計で見直しが必要だと思います。
このニュース、これと関係あるかも?
【業界】 食品・外食産業、農業関連
【注目株・企業名】 日本ハム(2282)、味の素(2802)、Deere & Company(DE)、Archer Daniels Midland(ADM)
外食需要の回復に乗じて、原材料の調達が話題になってる今、このニュースはまさに現場の課題って感じがしますよね。海外勢だと農業機械や原料流通を担う企業の動きにも注目です!
誰かに話すならこんな風に話して
「政府の備蓄米って、実はちゃんと計画立てて市場に放出してるんだけど、今回は申し込みが殺到して一時停止したらしいよ。業務用とか飼料向けの需要が急に伸びてる背景もあるみたいで、ちょっと供給が追いつかない感じだって」
引用元:All Nippon NewsNetwork(ANN)、農林水産省公式発表
