症状が現れても診断が下るまでに3年以上。そんな「診断ラグ」が難病患者に与える影響が、医療費や通院回数のデータとともに明らかになった。誤診のリスクや患者の精神的・経済的負担を減らすために、今何が求められているのかを探る。

話題の要点まとめ
製薬企業などによる約8000人分のレセプトデータ分析により、難病患者が初診から確定診断を受けるまでに平均3.4年かかっている実態が判明した。この間、患者は平均69回通院し、医療費として176万円を費やしているという。診断に5年以上要した患者は35%、9年以上かかった例も13%に上る。近年ではむしろ診断までの期間が長期化する傾向も見られ、課題の深刻さが浮き彫りとなっている。
関連ニュースの動向・背景
今回の分析は、潰瘍性大腸炎やパーキンソン病など比較的患者数の多い難病20種を対象に行われた。2014年度には平均32カ月だった診断までの期間が、2023年度には45.4カ月と明らかに延びている。患者団体によるこれまでのアンケートでも「診断ラグ」は課題とされてきたが、レセプトベースでの詳細な調査は初となる。
この「診断ラグ」は、特に希少疾患や症状が曖昧な病気において顕著である。医師が疾患の兆候を見逃すリスク、専門医へのアクセスの困難さ、診断技術の限界など、複数の要因が絡み合っているとされる。
専門家のコメント・データ
聖マリアンナ医科大学の山野嘉久教授(脳神経内科)は、診断の遅れによる問題を指摘し、「治療薬の登場により、早期診断によって得られる患者の利益は大きい」と語る。対策としては以下の3点を提案している。
- 専門医への早期アクセスを可能にする診療ネットワークの強化
- AI技術を活用した画像診断の精度向上
- 新生児期の先天性疾患スクリーニング拡充
また、今回の調査では難病患者の約6割が誤診を経験していたというデータも存在し、誤診が患者に与える心理的・物理的影響の大きさも無視できない。
過去の類似事例と比較
希少疾患における診断の遅れは、海外でも報告されている。例えばアメリカでは、ドラベ症候群の診断まで平均5年かかったという報告があり、その間に複数の誤診が繰り返されていた。
また、日本国内でも2016年に行われた希少疾患ネットワークによる調査で、平均診断期間は約3年という結果が出ていた。今回の3.4年という数字はその延長線上にあり、改善が進んでいない実情がうかがえる。

まとめ・筆者の一言
平均3.4年という「診断ラグ」、あまりに長すぎますよね…。患者さんにとっては体のつらさだけでなく、不安や誤診のストレスも大きな負担だと思います。医療現場の多忙さや制度上の壁もあるとはいえ、せっかく治療薬が出てきても、その恩恵にすぐ届かないのはもったいないですよね。AIの導入とか診療ネットワークの整備とか、少しずつでも進んでいくことを願いたいです。
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【業界】医療AI、デジタルヘルス
【注目株・企業名】エーザイ(国内)、アイケア・ヘルス(iCare Health Technologies/米国)
AIによる診断支援って、まさにこの「診断ラグ」対策に直結しますよね。日本ではエーザイが早期診断技術に力を入れてるし、海外だとアイケア・ヘルスが認知症診断AIで注目されてます。こういう企業、今後ますます目が離せないです!
誰かに話すならこんな風に話して
「難病ってさ、病名がわかるまでに平均で3年以上かかるらしいよ。診断つくまでに通院69回、医療費176万円とか…。しかも誤診も多いらしくて、すごく大変そう。最近はAIとかネットワークで少しずつ改善も進んでるみたいだけど、もっと早く診断できる仕組みが必要だよね」
引用元:毎日新聞、聖マリアンナ医科大学、アレクシオンファーマ
