創立100年を超える私立高校、札幌静修高校(札幌市中央区)が、校舎に囲まれた敷地の中心に大型コインパーキングを設置するという異例の対応に踏み切った。学校の「真ん中」に不特定多数の車両が24時間出入りする環境が生まれることで、安全面や教育環境への影響が懸念されている。背景には、少子化による生徒数減少と、それに伴う学校財政の厳しさがあるとされる。歴史と伝統を誇る私学が、時代の波の中で生き残りを模索する姿が浮き彫りになっている。

話題の要点まとめ
- 札幌静修高校の旧体育館跡地にコインパーキングが開業
- 校舎と校舎の間という生徒動線上に位置
- 外部業者が運営、収容台数は約70~80台
- 教職員組合が安全性や教育環境への影響に懸念
- 敷地の一部売却も検討中、学校経営の苦渋の決断とされる
関連ニュースの動向・背景
札幌静修高校は、1920年代に創立された北海道を代表する伝統的な私立高校の一つである。そのキャンパスの中心部に設置された今回のコインパーキングは、もともと旧体育館があった場所で、解体後に更地となっていた。近隣住民によると、この地域では駐車場が不足気味であるとの認識もあり、実際に需要は見込まれている。
しかし、教育機関である学校の構内に外部のコインパーキングを設けることは、極めて稀なケースであり、地域社会や保護者の間でも驚きと不安が広がっている。
背景には、全国の私学が直面する「少子化による経営難」があるとみられている。国や自治体の支援だけでは賄いきれない運営費や、老朽化した校舎の建て替えなど、多くの課題に直面しているのが実情だ。

専門家のコメント・データ
教育経済の専門家である山田純一氏(仮名、大学教授)は次のように指摘する。
「私学にとって、少子化は存続に直結する問題であり、敷地の一部活用は財源確保の選択肢の一つ。とはいえ、教育環境や生徒の安全との両立が必要不可欠で、透明な説明と合意形成が求められる」
また、文部科学省の統計によると、全国の私立高校のうち約3割が赤字経営に転落しているというデータもある。地方の私学では経営基盤が脆弱になっており、不動産の一部売却や賃貸による収益確保は今後ますます増えると見られる。
過去の類似事例と比較
教育施設が経営上の理由で敷地を一部商業利用する事例は他にも存在する。たとえば、東京都内のある専門学校では校舎裏手の空き地をコンビニに貸し出し、家賃収入を得て校内設備の更新費用に充てた事例がある。
しかし、今回のように生徒の動線上にある構内中心部での外部駐車場設置は前例が少なく、安全面への懸念が強まっている点で異なる。特に札幌市内では4月に高校生が不審者に衣服を切られる事件も発生しており、地域の不安感は高まっている。

まとめ・筆者の一言
学校の真ん中に一般車両が出入りするというのは、やっぱり不安になりますよね。防犯面はもちろん、学校という空間の「安心感」そのものが揺らいでしまう気がします。ただ、少子化と経営難の中で学校を守るための苦渋の選択というのも理解はできます。今後は、どれだけ丁寧な説明と配慮がされるかが問われると思います。
このニュース、これと関係あるかも?
【業界】教育業界、不動産業界
【注目株・企業名】リソー教育、日本駐車場開発株式会社
こういう話題を見ると、教育現場と不動産活用って今後ますますリンクしていきそうですよね。不動産業側からすれば空きスペースの有効活用になるし、学校側にとっては経営資源になる…けど、やっぱりバランスが大事です!
誰かに話すならこんな風に話して
「札幌の高校でね、校舎のど真ん中にコインパーキング作っちゃったんだって。少子化で経営が厳しくて、やむなくらしいけど、生徒の安全とか大丈夫かなって心配にならない?」
引用元 : 朝日新聞、2025年5月5日配信
