証券口座の不正アクセスによる乗っ取り被害が深刻化する中、日本証券業協会(日証協)が証券各社と連携し、被害補償に向けた調整を進めている。これまで補償に消極的だった業界が方針を転換した背景には、金融庁の見解や新NISAへの被害拡大といった要素がある。今後の補償基準の策定と実効性が注目される。
話題の要点まとめ
- 証券口座の不正アクセスによる乗っ取り被害が相次いで発生。
- 日本証券業協会が業界全体での補償方針を協議中。
- 補償範囲は顧客の過失の有無、多要素認証の有無などに基づき判断。
- 金融庁が「不正アクセスによる被害は補償対象外」との従来の解釈を見直し。
- 新NISA口座も被害にあっており、業界に早期対応が求められている。

関連ニュースの動向・背景
2025年に入り、ネット証券を中心に証券口座の乗っ取り事件が急増している。IDとパスワードが流出し、本人の知らぬ間に株式が売買される事例が多数確認されている。特に問題視されているのは、従来の「ID+パスワード」のみでログインできる脆弱な認証方式が狙われている点である。
これに対し、金融庁は「第三者による不正アクセスを原因とする被害は、金融商品取引法が禁止する『損失補塡』には該当しない」との見解を明示。これを受け、日本証券業協会は加盟各社と連携し、業界全体として一定の補償基準を設ける方向で調整を進めている。
専門家のコメント・データ
セキュリティ対策に詳しい情報セキュリティ大学院大学の高橋教授は、「証券口座は金融資産に直結しているが、銀行口座と異なり補償体制が曖昧だった。今回の方針転換は遅すぎたが、業界の構造的な改革につながる可能性がある」と評価する。
また、警察庁の最新の統計によると、2024年の証券関連不正アクセス被害件数は前年比1.8倍に達しており、被害総額はおよそ37億円に上るとされる。背景には、フィッシング詐欺やリスト型攻撃による個人情報の流出がある。

過去の類似事例と比較
過去、インターネットバンキングでも同様の不正アクセス被害が相次いだが、銀行各社は比較的早い段階で補償体制を整備した。例えば、三井住友銀行やみずほ銀行では、不正アクセスによる被害は原則として全額補償とされている。
一方で、証券業界は「金融商品取引法によって損失補償が禁止されている」との法解釈を根拠に、長らく補償に消極的な姿勢を取り続けてきた。今回、金融庁が「不正アクセスはこの規制の対象外」との見解を明らかにしたことで、法的障壁が一部解消されたとみられている。
まとめ・筆者の一言
補償に踏み切る方向性が示されたのは安心材料ですが、正直「やっと動いたか」という印象ですよね。不正アクセスのリスクは以前から指摘されていたし、多くのユーザーが泣き寝入りしてきた現実があります。今後は補償基準の明確化と迅速な対応が期待されますが、それと同時に「どう防ぐか」というセキュリティ強化も不可欠だと思います。

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【業界】フィンテック、サイバーセキュリティ
【注目株・企業名】マネックスグループ、セゾン情報システムズ、トレンドマイクロ
ネット証券のセキュリティ強化が急務となれば、関連技術を持つ企業にも注目が集まりそうですよね。特にマネックスグループは新NISAを通じた個人投資家層との接点が多く、影響は大きいかもです。
誰かに話すならこんな風に話して
「最近、証券口座が乗っ取られる被害が増えてるらしくて、証券業界もやっと補償する方針に変わったんだって。今までは法律が理由で補償してなかったけど、金融庁が新しい見解を出したから、これからは補償してもらえる可能性があるみたい。新NISAも狙われてたらしいよ。」
引用元:朝日新聞(2025年5月1日)
