ヤマトホールディングスが発表した2025年3月期決算は、市場関係者に強いインパクトを与えた。売上高は前年並みを維持したものの、営業利益は64.5%という大幅な減益。背景には日本郵便との協業不振があり、物流業界の構造変化とともに、宅配便各社の戦略転換を浮き彫りにしている。また、10月には宅急便の一部値上げも発表され、消費者や企業にも影響が及びそうだ。

話題の要点まとめ
- ヤマトHDの2025年3月期の営業利益は前年比64.5%減の142億円
- メール便・薄型荷物の取扱量が急減、日本郵便との連携が奏功せず
- 宅急便の取扱量増により営業利益を一部カバー
- 純利益は不動産売却などにより前年比0.8%増の379億円を確保
- 10月から一部中大型荷物の宅急便送料を約3.5%値上げへ
関連ニュースの動向・背景
今回の決算で注目すべきは、日本郵便に委託していたメール便や薄型荷物の取扱量の激減である。とくにメール便は前年比で82.4%減という衝撃的な落ち込みとなった。これは、配達日数の遅延などによる顧客離れが要因とみられ、宅配業界における「スピードの価値」があらためて浮き彫りになったかたちだ。
一方、従来の主力商品である宅急便は堅調で、取扱量の増加によって営業利益の下支えとなったが、それでもメール便などの不振をカバーしきれなかった。
加えて、同日発表された10月からの送料値上げも大きなニュースだ。対象は中型から大型の荷物、およびゴルフバッグやスキー用具などで、値上げ幅は平均3.5%程度。物価高と人手不足の影響を背景に、業界全体が価格転嫁を進めざるを得ない状況である。
専門家のコメント・データ
物流業界のアナリストは、今回の結果を以下のように分析している。
「日本郵便との協業によってコストを抑えるという戦略は、顧客満足度の低下という形で裏目に出た。ヤマトにとっては、ブランド価値とサービス品質を再構築するフェーズに入ったといえる」(SMBC日興証券・物流担当アナリスト)
また、国土交通省が発表した「物流統計月報」によると、2024年度下期における宅配便全体の取扱個数は前年同期比で微増しており、業界全体としては緩やかな成長が続いている。だが、労働力不足や燃料費高騰が重荷となり、利益を圧迫しているのが現実である。

過去の類似事例と比較
ヤマトHDは過去にも収益性の低下に直面し、その都度コスト構造の見直しや配送体制の刷新を行ってきた。とくに2017年の「働き方改革」以降は、ドライバー不足や再配達の問題が顕在化し、料金改定を余儀なくされてきた。
今回の送料値上げも、同様の構造的課題への対応策の一環である。一方で、同業の佐川急便(SGホールディングス)や日本郵便も、配送料改定や集配時間の見直しを進めており、業界全体で「持続可能な物流」への移行が求められている。
まとめ・筆者の一言
利益がここまで落ち込むとは正直びっくりでしたよね。やっぱり、配達の遅れって想像以上に顧客離れに直結するんだなとあらためて実感しました。今後は値上げの影響がどこまで波及するか、利用者としても気になるところです。とはいえ、物流の裏側では人手不足やコスト増の現実があるわけで…難しいバランスだと思います。
このニュース、これと関係あるかも?
【業界】 物流・配送業界
【注目株・企業名】 SGホールディングス、日本郵便、楽天グループ
物流業界全体が「2024年問題」に直面してる中で、各社がどう価格とサービスのバランスを取っていくか注目ですね。楽天も自社物流を強化してるし、競争と共存の境界がどんどん曖昧になってきてますよ。
誰かに話すならこんな風に話して
「ヤマトが今年の決算で営業利益6割も減ったんだって。日本郵便との提携が上手くいかなかったみたいでさ。あと10月から大きめの荷物は送料も上がるらしいよ。物流って今ほんと大変なんだね。」
引用元:朝日新聞、共同通信
