時間や場所に縛られずに働ける自由さを背景に、フリーランスという働き方を選ぶ人は年々増加している。その数は全国でおよそ460万人とも言われ、企業との取引も一般的なものになってきた。しかしその一方で、報酬未払い、契約不履行、立場の弱さといった“見えないリスク”が根強く存在している。こうした課題に対処するべく、2024年11月には「フリーランス新法」が施行されたが、現場での実効性や周知状況には課題も残されているようだ。

話題の要点まとめ
- 全国で460万人とされるフリーランス人口が増加する中、「報酬未払い」や「契約不履行」などのトラブルが顕在化
- グラフィックデザイナーや音楽クリエーターなど実例からも明らかになる立場の弱さ
- 2024年11月に施行された「フリーランス新法」により、取引条件の明示や“買いたたき”の禁止が企業側に義務化
- しかし認知度は低く、実務レベルでの変化は限定的

関連ニュースの動向・背景
多様な働き方が推進される社会情勢の中で、フリーランスという働き方はIT、デザイン、クリエイティブ業界を中心に広がりを見せている。一方で、こうした自由な働き方にはリスクも伴う。たとえば、業務委託契約では労働基準法が適用されないため、最低賃金の保障や残業代の支払い義務もない。報酬の支払いも企業側のモラルに委ねられているケースが多く、トラブルの温床となっている。
これを受けて政府は「フリーランスとして安心して働ける環境」を整備するため、取引上のルールを明文化した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)」を制定。違反があれば公正取引委員会による勧告・指導、場合によっては社名の公表まで行われるとされる。

専門家のコメント・データ
フリーランス支援団体「日本フリーランスリーグ」の調査によると、フリーランスの約3人に1人が「報酬が正当に支払われていない」と感じているという。これは、事前に契約書を交わさない、報酬額や支払期日が曖昧なまま業務に着手してしまうなど、構造的な問題が背景にあると指摘されている。
法学者や労働問題の専門家からも、「新法は前進ではあるが、違反時の罰則が緩く、実効性に乏しい」という懸念が示されている。また、報酬の支払い遅延や“タダ働き”の実例が後を絶たない現状に対し、「法の周知徹底とともに、企業側の倫理観や実務対応の改善が不可欠」との意見も出ている。

過去の類似事例と比較
これまでもフリーランス保護を目的としたガイドラインや施策は存在していたが、法的拘束力が弱く、効果は限定的だった。たとえば2021年に策定された「フリーランスとの取引適正化に関するガイドライン」も、勧告止まりで罰則はなかった。
一方、今回の「フリーランス新法」は正式な法律として成立した点で一歩前進と言える。しかし、発注者側が法令遵守を行う意識を持たなければ、制度は形骸化する恐れがある。また、発注企業が下請法や独占禁止法と混同し、適切な対応が取れないケースも指摘されており、現場での理解促進が課題となっている。

まとめ・筆者の一言
フリーランスとして働くって、自由なようでいて、実はかなりの“自己責任”社会なんですよね…。報酬が支払われない、勝手に作品が使われる、そんなことが本当に現実に起きているとは驚きです。
新しくできた「フリーランス新法」も、まだまだ知られていないし、発注する企業側が変わらないと意味がないんじゃないかな…と思います。フリーランスの方が安心して仕事ができるようになるには、制度を整えるだけでなく、「取引相手への敬意」も必要なんじゃないかなと感じました。

このニュース、これと関係あるかも?
今回のフリーランス新法、特に影響を受けるのはクリエイティブ業界、IT業界、出版・メディア業界などの委託契約が多い分野です。これらの業界では、成果物の納品後に「報酬が支払われない」「追加修正を無償で求められる」などのトラブルが多く、法整備が求められていました。
企業側にもコンプライアンス対応のコストが増えるため、影響は業績や株価にも波及する可能性があります。たとえば、アニメ制作会社やゲーム開発企業など、外注比率が高い企業では、新法対応に向けた契約書改訂や支払いフローの見直しが必要になっており、投資家としても注目しておくべきトピックです。

誰かに話すならこんな風に話して
「最近フリーランスってすごく増えてるらしいよ。自由に見えるけど、実は報酬トラブルとかけっこう多いんだって。だから去年、新しく法律ができたらしいよ。ちゃんと契約内容を書面で出すように義務付けたり、無茶な値下げを禁止したりするんだって。これでフリーランスの人が安心して働けるようになるといいよね」
引用元 : TBS NEWS DIG、ロイター通信、日本フリーランスリーグ調査、内閣府報道資料
